
・CentOS StreamってCentOS Linuxとどう違うの?
・CentOS Streamの細かい注意点が知りたい
・CentOS Streamの利用が向いている環境は?
・CentOS Streamのインストールではハマるポイントは?
こういった疑問に答えます。
CentOS Stream とCentOS Linuxの違いとは?ダウンロードやインストールの注意点を教えて!
最近、仕事でCentOS Streamについて質問をしばしば受けます。
以前にCentOSに関する記事も投稿しましたが、普段からLinux(特にCentOS)に触れることが多いものの、CentOS Streamについては触れてきませんでした。
とはいえ、そろそろ知見をためる時期なのかなと思い、今回は「CentOS Streamとはなにか?」寄稿したいと思います。
この記事の寄稿にあたっては気を付けて情報を収集しておりますが、一部誤った見解がある場合にはご一報いただけますと幸いです。
CentOS StreamのリリースによるCentOS Linuxへの影響は?

centos.org(リンク先はRedhatですが)に、CentOS Streamに関して日本語でFAQが纏められています。

リンク先には、
- CentOS Streamはアップストリームの開発プラットフォーム
- CentOS Linux 8ディストリビューションのアップデートは、2021年12月31日まで継続
- CentOS Linux 9はリリースされない
- CentOS Linux 7ディストリビューションのアップデートは、従来どおり2024年6月30日まで継続
- CentOS Linux 6ディストリビューションのアップデートは、2020年11月30日に終了済
- CentOS Stream 9は、2021年第2四半期にRHEL 9の開発プロセスの一環としてリリース予定
- CentOS Stream 8ディストリビューションのアップデートは、RHELのフルサポートフェーズを通じて継続される
とあり、CentOSの開発、サポートに関する情報が纏まっています。
FAQから、2021年の年末をもってCentOS Linux 8 系の後続はリリースされないということが判ります。
さらに、CentOS Linux 9 は、それ自体がリリースされません。
こうやってみると、2022年から大きな変化が有りそうですね。
CentOS Streamの開発理由
有難いことに、気になるCentOS Streamの開発理由もFAQに纏まっています。
- フィードバックループを短縮して変更作業を促進
- 透明性の高い開発を行う
- RHELの迅速なリリーススケージュールのために、誰でも貢献できるミッドストリームの開発環境が必要
- すべての開発者がRHELのマイナーリリースに対しても新しい機能やバグ修正に貢献
有償・無償、メーカーのサポートの有無の違いがはあるものの、CentOSはRHEL(Red Hat Enterprise Linux)のクローンOSです。
今回のCentOS Streamのリリースに伴い、「では、今後はクローンがどうなるの?」と思うかもしれませんが、探してみると、各社からクローンとなるOSのリリースされています。

なお、 CentOS LinuxはRHELのクローンOSですが、アップデートの際にはリポジトリ(参照先)を間違うとひどい目に遭います。
普段からCentOSの利用に慣れている場合にありがちなのが、RHELのアップデート作業時にCentOSのレポジトリを参照してCentOS用のパッケージをインストールさせてしまい、RHELでは発生しないバグに遭遇することがあります。
クローンと言っても細かい部分の際は当然あるので、アップデート時のレポジトリの指定を間違えないようにしましょう。
アップストリームの開発プラットフォームとはなにか?

上記のリンクに「アップストリーム」とあります。
「アップストリーム」の反対語は想像の通り「ダウンストリーム」となるのですが、それぞれのOSの立ち位置を示します。
例えば、
- RHEL 8 のアップストリームはCentOS Stream 8
- CentOS Stream 8のダウンストリームはRHEL 8
- RHEL 8 のダウンストリームはCentOS 8
といった感じになります。
つまり、より先にリリースがされた環境で開発及び安定稼働を確認すると、ダウンストリームに反映されます。
詳しく知りたい方は、こちらにとても分かりやすく纏まっているのでご確認ください。
試しに、それぞれのOSプラットフォームのターゲットと効果を纏めると以下のようになります。
プラットフォーム | ターゲット | 効果 |
Fedora Linux | 開発者向けのコミュニティプロジェクト | CentOS Stream、RHELに活かされる |
CentOS Stream | 独自のハードウェアやソフトウェアに対応した変更を加える必要があるエコシステム開発者向け | RHELの次期バージョンに備えてテクノロジーやツールを開発 |
Red Hat Universal Base Image | コンテナ化したアプリケーションの開発者向け | コンテナ化したクラウドネイティブなエンタープライズアプリケーションの開発を可能に |
RHELデベロッパーサブスクリプション | Red Hatの商用エンタープライズオペレーティングシステム製品上で開発やテストを行う個人向け | RHEL基盤上への実稼働デプロイを想定したアプリケーション用の開発/テスト環境を提供 |
今回調べるまで知らなかったのですが、CentOS LinuxからRedhatへの切り替えは移行ツール(Convert2RHELツール)で簡単に移行できるようです。
そのうち使うことがあるかもしれませんね。
メディアのダウンロード先は?

メディアはCentOS Projectのページから、ダウントード先を選んでダウンロードが可能です。

タクゾーは、各種Linux、FreeBSDなどのOSメディアのダウンロードは常に理化学研究所のミラーサイトを利用しています。
Linuxに慣れていない方は、様々なLinuxに触れてみると自分に合ったディストリビューションが見つかるかもしれませんので、利用されたことない方は是非アクセスしてみてください。
CentOS Stream 8 のインストールの注意点
基本的なインストール方法については、以前ご紹介したCentOS 7 と差はありません。
強いて言えばダウンロードメディア(iso)のサイズが10GBと大きいことでしょうか。
なお、以前もご紹介していますが、タクゾーが検証環境でCentOSをインストールする際にはネットワークを手動で設定しています。
自宅での検証環境では、殆どの方がブロードバンドルーターなどDHCP機能が動いている機器があると思います。
そういった環境では、イーサネットをONにするだけでIPアドレスが付与されるので、そのIPアドレスを固定IPアドレスとして振るのが手っ取り早いでしょう。
また、これからCentOSに慣れていこうという方には、参考本が1冊持っていると困ったときに調べやすいので安心かもしれません。
まとめ
今回はタクゾーの情報収集の含めてCentOS Streamについて寄稿しました。
日本のIT文化としては『塩漬け』文化があるので、CentOS Streamによる環境変化は、今までRHELのクローンとしてCentOSを利用されていた方は、2022以降に影響を受けるでしょう。
特に、セキュリティソフトを含むサードパーティーのソフトウェアのインストールの際には、Kernelのバージョンなどでサポートまでに多少の影響は出るかもしれません。
その際には、バージョンなどメーカーに対応するパッケージの確認が必要となります。
その他、エンジニアの小技を本ブログでご紹介していますので、ぜひこちらも参考にしていただければ幸いです。
